2015/12/14 "バックミラー"追加

今回はSP360機能検証の話じゃなくて、動画編集の話です。

 SP360の360度動画見ると、底が抜けた黒い部分がなんかさみしいなぁと感じることありません?たまにそのブラックホールに陥って画面全体が真っ黒になったりしますし・・・・。
 でも、YouTube見てるとSP360の動画の黒い部分に文字とかロゴや商品などがアピールされている動画もありますよね?あれだと自分の見ている場所を見失わなくなるのでいいですよね。
 それでは、今回は同じような動画を作ってみましょう!

ポイント
・SP360を上向きまたは下向きで撮影した場合は、黒い部分に極座標変換した映像を貼り付ける
・動画を編集した場合には"360 Video Metadata アプリで再度メタデータを追加する

で、作った動画がこれ。動画再生前に下側を見てもらうと、通常の黒い帯の部分にSP360 4Kの写真が変形した状態になっています。 スマホをお持ちの方はこちらをクリック後"YouTube"で開くを選択


作りたい動画=元の動画+追加する画像(SP360 4Kの写真を少し加工済み)

今回使用したもの
・元となる標準提供ソフトでYouTube用動画変換済みのファイル
・動画に貼り付ける画像ファイル
・画像加工ソフト GIMP2.8.16(画像を360度動画に変形させるため)
・動画加工ソフト AviUtl(その変形した画像をYouTube360度用映像と合成するため)
・YouTube提供の 360度動画表示にするための"360 Video Metadata アプリ"

それでははじめます。

1.画像を360度用に加工する
 下記はフリーソフトのGIMPを使用していますが、極座標フィルタがあればどれでもできるはずです。

(1)画像を凸に変形させる
 この変形作業は必須ではありませんが、YouTube360度動画になったときに映像が凹んで見えるので、この段階で凸らせます。
・GIMPを起動し元となる画像を読み込んでおきます。1:1の正方形のサイズにしておきます。
・[フィルター]-[レンズ効果]を選択
0 (RGBカラー, 1枚のレイヤー) 2000x2000 – GIMP
レンズ屈折度を適当に増やす。今回は1→1.7に変更して[OK]。※値は下記の方の画像拡大サイズの高さによって見え方が違いますので試行錯誤してみてください。
補足:今回の手順では、YouTubeに変換したときに表示される範囲はこのレンズの円の範囲までです。円からはみ出る場合には画像を縮小するか、キャンパスサイズを大きくするなどして調整してください。
2015-12-07 23_27_28-レンズ効果

(2) 360度動画用に画像を加工
 "極座標"フィルタを使います。[フィルター]-[変形]-[極座標]を選択
0 (RGBカラー, 1枚のレイヤー) 2000x2000 – GIMP

・「パーセントで表した円の丸さ」は100にして、下図のように3つのすチェックを外した状態にします
2015-12-07 23_27_56-極座標
補足:例えば、バイクの走っているときに画像を真正面にあわせたい(文字が傾かないようにしたい)場合には上位の”角度オフセット”で調整してください。

・次に、360度動画にあわせた画像サイズにするためにサイズを変更します。
 [画像]-[画像の拡大・縮小]を選択
0 (RGBカラー, 1枚のレイヤー) 2000x2000 – GIMP

・キャンパスサイズを1920×334(以下)に設定し、[拡大縮小]ボタンを押します。※サイズの比率を変えるのでサイズを変更する際に下図のマウス位置にあるクサリをはずしてください。
2015-12-07 23_22_51-画像の拡大・縮小
補足:動画サイズ1920×960のうち、実際に映像部分は626ドットで残りの黒部分が334ドットなので最大は334にします。
 今回の私がテストとしてYouTubeに変換した動画では高さを200にしています。黒い部分を完全になくしたければ334にして、小さくしたい場合には高さを下げてください。

 以下のような画像が作成されます。基本はこれで終了なので[ファイル]-[名前をつけてエクスポート]でpngなど動画編集ソフトで扱える画像ファイルに変換し保存してください。
0 (RGBカラー, 1枚のレイヤー) 1920x334 – GIMP

※今回は上記はカメラを上向きにした場合ですが、カメラを下向きにつけた動画場合は画像を180度回転させてください。横向き動画は・・・


2.動画に上記で作った画像をくっつける
(1)先程作った画像を360度動画に貼り付ける

 手順省略。今回は下側ブラックホール用の画像を作りましたので動画編集で下記のようにきっちりと一番下側にあわせて画像を貼り付けてください(下図では音声の緑の線が見えるので一番下側にあわせたように見えないかもしれませんが、とにかくきっちり一番下側に)。隙間ができるとまた小さな黒い丸が・・・。
 exedit (1920,960)  [1_774]  デフォルト

 1920×960で出力可能で動画と画像ファイルを合成できる動画編集ソフトを使用してください。
 私は今回初めてフリーソフトのAviUtlというものを使いました。ちょっと戸惑いましたが以下の壁にぶつかりながらどうにかできました。
 ・最大画像サイズを1920×960に変更。変更後はソフトを再起動。
 ・MP4ファイルを出力するための拡張
 ・動画と画像を合成するために”拡張編集”
(参考)動画編集ソフトでファイル出力時にビットレート設定がある場合には、YouTubeアップロードする動画の推奨エンコード設定(出力時のビットレート)の値を参考にして画質が悪くならないようにしてください。

※私はPowerDirectorの2つ前のV12を持っているのですが出力を1920×960にする方法がわからず、このフリーソフトを使いました。ちなみにPowerDirectorで普通に動画を取り込むと出力は1920×1080になり動画の上側に黒の帯ができ、下記でYouTube360度動画にしてYouTubeで見ると天井にちっさいブラックホールできました・・・

(2)映像に大型の"バックミラー"をつけてみる
engadget日本語:日本初のプロボクシング360°パノラマ動画配信サービスが開始。スポーツの試合録画をVRで観戦 スマホをお持ちの方はこちらをクリック後"YouTube"で開くを選択
  動画の続きはこちら
 この記事にある動画をみて思いつきました。リングの上にバーチャルモニタがあって他の角度でも見られるようになっています。上空の空間をうまくつかっているなと。観客席側はいらないと思うのでカメラはぜひSP360 4Kを使っていただきたいですよねマスプロ電工マーケティング担当様。でもこの映像リングだけみてたら動かす必要がないので普通のビデオカメラでいいんじゃないの?って突っ込みもらいそうですw。SP360 2台横にならべて3D VRとかやってくれるといいかも。

 さて、360度動画は最初は居場所を確認するために周りをキョロキョロしますが、歩いたり車やバイクなど移動する動画でも疲れて(または前方ですでに見た映像は後方に移動してもそんなに変わらないという経験から)しばらくすると結局前しか見てませんよね。でも定期的に後ろが見たく場合があります。例えば、後ろから追い抜かれるようなレース動画のようにとっても後ろが気になる動画の場合いちいち何度も真後ろみるのは疲れて、しまいにはイライラします。でも、ちょっと上(または下)に顔を動かす分にはそれほどで苦でもありません。

 そこで、今回は上記の動画を使って、後ろに映っている映像を空いている部分(空だったり車の天井だったり、ブラックホールなど)にバーチャルバックミラーを小さくつけてみましょう
 スマホをお持ちの方はこちらをクリック後"YouTube"で開くを選択
 
 手順省略。大まかな作業は以下のような感じ。
(1)同じ動画をトラックに追加する
 もし、ミラーとして映したい範囲が動画の端っこで切れちゃう(残りは反対側にあったりする)ときはバックミラーも2個にわけてくっつける必要があります。そのときはミラーの数だけトラックに追加しましょう。
(2)ミラー用の動画にマスク(映像範囲をしぼる)
 貼り付ける際にはその動画を左右反転する(今回はバックミラーですからね)。さらに映像を少し縮小して見やすくしたり縁取りとか透明度を変えるとか丸くするとか。ちなみにバックミラーが楕円のときの動画はこちら

 360度動画でも固定して撮影した場合には、動きの少ない(価値のあまりない)空いてる部分がありますので有効活用しましょう!。ただし、歩き撮影だと向きがかわり、肝心の空いている場所も変わってしまうので編集が困難になります。


3.再度、YouTube360度対応メタデータを追加する
 動画編集は終わりましたが、YouTube360度動画用のメタデータを追加する必要があります。
 SP360で標準提供されているソフトでラウンドモードの動画をYouTube用に変換作成された動画にはそのメタデータってのがついてる?ようですが、その動画を加工してそのままYouTubeにアップすると普通のパノラマのままになってしまいます。
 そこで、先程作成した動画ファイルにメタデータってのを追加します。
 ※かなり適当な説明ですいません。原理もわからず単にやってみてうまくいっただけなので・・・

 手順はYouTubeの360 度動画のアップロードに書いてます。「メタデータを追加するアプリ」ってのが必要だそうで「アプリを使用して 360 度対応ファイルを作成する」にある各OS用の"360 Video Metadata アプリをダウンロード"して解凍しておきます。
 以下はWindowsの場合です。その解凍した”360 Video Metadata Tool.exe”を起動すると、下図のような画面が表示されますので[Open]で今回作成した動画ファイルを選択し、次に下図の"Spherical"にチェックを入れ[Save as]でメタデータが追加された動画ファイル名を指定します
2015-12-07 23_51_26-Spherical Metadata Injector
しばらくすると下図のように"Successfully ・・・"と表示されます。複数動画がある場合は再度繰り返し、終了する場合には[Quit]でアプリを終了します。
2015-12-07 23_51_51-Spherical Metadata Injector

 動画ファイルの作成は以上で終了です。あとは普通にYouTubeやFacebookにあげてください。
YouTubeにアップロード完了した直後はただのパノラマだったり、360度動画だけど解像度が360pとかだったりしますので、数十分待ってみましょう(最大1時間らしい)。
 Facebookの360度動画は最大長10分、最大サイズ17.5Gに制限されます

 動画編集は以上です。


4.感想
 これでさみしいブラックホール部分が気にならなくなりますよね。逆にインパクトにもなりますし。それに一度画像を作成してしまえば、あとは動画編集ソフトで貼り付けるだけなので作業もそれほどめんどくさくありません。
 あと"バックミラー"は360動画を単にフィルタで切り出して貼り付けましたが、他にも標準提供ソフトの"ドーム"形状で変換した映像を切り出して使えばいろんな状態の映像でも使えるかもしれませんね。SP360のブラックホールを有効活用してみましょう
 本当は標準ソフトで360度動画を簡単に編集できるようにしてくれるといいんですけどねぇ。映像や文字を貼り付けて映像にくっついてるんじゃなくて浮いてるように見えるようにね。ちょっとした仮想空間を楽しめるといいのになと。細かい要望を言うと標準ソフトで映像のスタート位置(角度)も設定できるといいのに。Facebookではアップ後にカメラ位置と視野角が設定できますけどYouTubeは何も設定できないので映像側で意識して作成する必要があるので。

以上
初版 2015/12/8